ファウンダー対談

【起業家対談】
アドビ株式会社 マーケティング本部
バイスプレジデント 秋田夏実さん

後編:多様な組織を率いるリーダーに必要なスキルとマインド

kay meでは創業10周年の特別企画を実施しています。


今回はファウンダーの毛見が、アドビ株式会社マーケティング本部
バイスプレジデントの秋田夏実さんと対談しました。

こちらでは、その模様を2回にわたりお届けします。
後編では、企業カルチャーに適応するコツや
セルフプロデュースに欠かせない視点などについてお伺いしました。

毛見着用(左側)
◆ ミント クルーネックカーディガン
ネイビー ロングマリリンワンピース

秋田さん着用(右側)
◆ ブルーリーフ デイリーワンピース
◆ ノーブルグレー ストレッチライダース

「異文化の壁」を越える秘訣

毛見
毛見

組織に価値観や文化の違いがあるとき、どのようにギャップを埋めようとしますか?

「数字」に長けることが重要だと思います。万国共通で説得力があり、有効なのは数字です。議論で相手に激しくまくし立てられたとしても、数字を把握していれば、論理的かつ合理的に反論することができます。しっかりとした裏付けのある数字だと、相手も引かざるを得ませんからね。

あと、日本人は交渉下手だと相手に思わせてはいけません。相手が誰であろうと、提示された条件や相手の言い分を安易に飲むのではなく、粘り強く交渉することが大切です。

毛見
毛見

女性の中には、男性中心の企業でキャリアを目指している方もいらっしゃいます。
その中でやりたいことをやっていくには、どう振る舞えばいいのでしょうか?

日本では男性同士でクローズドのコミュニケーションが行われる傾向があります。
決して女性を意図的に排除するつもりはないと思いますが「タバコ部屋」や「飲みニケーション」「週末のゴルフ」などでいつの間にか物事が決まっていることもありますよね。特に男性が多く、クローズドなコミュニティでは、その中に入っていないと情報が得にくいことがあると思います。

このような組織に属する場合は、意識的に「自分から色々な人との接点を持つ」ようにすることが大事です。そして、色々な人との接点を構築するには「自分の中の引き出し」が多ければ多いほどいいですね。

様々な知識や経験があれば、人の輪の中に入って行きやすくなります。例えば私の場合、ワインエキスパートの資格を持っているので、ワインについて語れます。これは様々な場面で役に立っていますね。

他にも、私が空手をやっていると言うと皆さん驚かれたり、興味をもって私の話に耳を傾けてくれます。毎朝ランニングや筋トレもしていますが、そういう部分で話が弾む事もあります。

あとは日々様々なニュースをチェックし、話題になっているものを把握しておくことも大事です。アンテナを広く張って、自分が少しでも興味を持ったものを取り込んでおく。そうすると、引き出しの数は増えていき、より多くの人とより深く関わることができるでしょう。

秋田
秋田

秋田さん着用
◆ ブルーリーフ デイリーワンピース
◆ ノーブルグレー ストレッチライダース

理想の自分に近づくための「セルフプロデュース術」

毛見
毛見

他にはどのような点に気をつけていますか?

自分がどう見えるかを意識して「セルフプロデュース」するようにしています。

身につけているもの、話し方、立ち居振る舞いなどなど、色々なもので印象は形作られます。だからこそ、相手が自分に対してどういう印象を持つだろうか、自分はどう思われたいか、どういう人間でありたいか、ということを常に考えるべきです。

自分の理想の姿についてイメージを持って、そこに少しでも近づけるように、足りないパーツを少しずつ補っていくのも必要ではないでしょうか。

例えば、私の今の声は割と低めだと思いますが、元々はもっと線の細い高めの声でした。その声質だと、頼りなく聞こえてしまうかもしれないと不安に思っていましたが、ここでも空手で習得した発声方法が役に立ちました。

私は元々あがり症だったのですが、ここでも空手の鍛錬が役に立ちました。空手の昇級試験は、静まり返った体育館で、道場生が囲む中で試験を受けます。その時はCEOに英語でプレゼンするのに匹敵するか、それ以上に緊張します。

そうした経験を重ねる中で、場慣れして、あたかも自信があるかのように振る舞えるようになりました 。

秋田
秋田
毛見
毛見

趣味のように思えることも、仕事に役立つことがあるんですね。

そうですね。空手では師範に怒られることもあります。この歳になって怒られることは、普通はほとんどないでしょう。

ビジネスではリーダーという立ち位置ですが、空手のおかげで、指導される側の門下生という立ち位置も経験しています。自分の中に「ひとりダイバーシティ」というか、色々な視点を得られるのも面白いですね。

秋田
秋田

秋田さん着用
◆ ブルーリーフ デイリーワンピース
◆ ノーブルグレー ストレッチライダース

サスティナブルなものを選びたい

毛見
毛見

kay meと他のブランドで何か違いを感じることはありますか?

大きく2点あります。まず一つ目は「私が望んだ機能を全て網羅していること」です。

30代の頃、某アパレルメーカーのフォーカスグループインタビューに参加し、どのような服が欲しいかを聞かれたことがありました。

その際に「デザイン性も高くシワになりにくくアイロンをかける必要がなく家で洗濯ができるワンピースが欲しい。それに加えて、流行を追いかけるようなデザインでなく、長く着られるものが欲しい」と言ったら「それは難しいですね」と一笑されてしまいました。

「やはり無理なのかな。私はそういう服が欲しいのにな」と思っていたのですが、それを実際に形にしてくれたのが毛見さんでした。だから最初にkay meの服に出会った時は、本当に感動しました。

また実際に使ってみると、シワにならなくて着心地もよく、すっきり見えます。 コロナ禍以前は、多い時は毎月のように海外出張がありました。出張先で着る服や、機内で着る服を選ぶ際には、この点を重視しました。

そうすると選択肢はkay meしかなくなり、私のスーツケースの中はkay meの服ばかりになっていました。
ストレッチ素材のライダースジャケットやファーストクラスパーカーは、出張先でも同僚に「その服いいわね。どこの?」と言われることも多かったです。
飛行機での長時間の移動の際は、フライトドレスだと身体を締め付けられないので、機内で楽に眠ることができます。しかもそのまま空港に降り立っても、恥ずかしくないデザインなのでとても助かりました。


二つ目は「コンセプトの素晴らしさ」です。
私は元々服を捨てられない性分で、 Tシャツなどもとことん着て、最後はミシンで縫って雑巾にして使い切っています。そうすると毎シーズン新しい服を買っては捨てるということはできないので、kay meの服に対する姿勢に大変共感しています。

シーズンの前に「サーベイ」を取って、どの商品を作るか、生産量をどうするか、きちんと考えていますよね。
「セールをしない」というのも、とても勇気のいる事だと思います。
しかし、このような取組みは時代の流れを的確に捉えていて、まさに「サスティナブル経営」のお手本だと思います。

秋田
秋田

ポジティブなエネルギーを社会に還元

毛見
毛見

それでは最後に、秋田さんの次の5年のビジョンを教えていただけますでしょうか?

私の中から湧いてくるポジティブなエネルギーを、少しでも世の中に対して還元したいです。

個人的な目標としては、子供をしっかりと育てながら空手の黒帯を取れたらいいなと思います。またビジネスでは、健康でいられる限り、自分がこれまで培ってきたものをベースに、周りの人たちが輝けるようにサポートしたいと考えています。

私のリーダーシップのスタイルは「サーバントリーダーシップ」です。
「俺についてこい」という支配型リーダーシップとはおそらく真逆で、どちらかと言うと仲間の素晴らしい能力やアイデアを引き出して、結果としてチーム全体の力を伸ばすことに長けていると思います。

仲間に対して奉仕をするのが基本的に好きですし、将来的には、より広範囲の人に奉仕することができたら素敵だなと思っています。

秋田
秋田
毛見
毛見

今回の話はとてもポジティブなお話しがお聞きできました。

女性・男性問わず、コロナ禍で少し元気を失っている方々がエンパワーされそうですね。

本日は貴重なお時間をありがとうございました!

毛見着用
◆ ミント クルーネックカーディガン
ネイビー ロングマリリンワンピース

秋田さん着用
◆ ブルーリーフ デイリーワンピース
◆ ノーブルグレー ストレッチライダース


毛見着用(左側)
◆ スマートストレッチ サックス テーラードジャケット
ネイビー ロングマリリンワンピース

kay me株式会社代表取締役/リードデザイナー 毛見純子

早稲田大学卒業後、ベネッセコーポレーションにて学校法人の営業およびマーケティング職に従事。その後Pwcにて組織人事コンサルタント、ボストンコンサルティンググループで経営戦略コンサルタントに従事。2008年マーケティングコンサルティング会社を立ち上げ、代表に就任。2011年kay me事業を開始。 2016年日本政策投資銀行「DBJ女性起業大賞」、2015年英国商業商工会議所「2015アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」などを受賞

秋田さん着用
◆ ブルーリーフ デイリーワンピース
◆ ノーブルグレー ストレッチライダース

アドビ株式会社マーケティング本部/バイスプレジデント 秋田夏実

東京大学経済学部卒業。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院卒業(MBA)。シティバンク銀行、マスターカードなどの要職を歴任後、2017年4月に金融業界を離れ、アドビに入社。18年、副社長に就任。同社のバイスプレジデントとして、日本での広報・ブランディングを含むコミュニケーション戦略、マーケティング活動のすべてを統括。22年5月、みずほフィナンシャルグループ常務執行役員に就任。3人の子ども(2男1女)の母でもある。

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