kay meでは創業10周年の特別企画を実施しています。
今回はファウンダーの毛見が、アドビ株式会社マーケティング本部
バイスプレジデントの秋田夏実さんと対談しました。
こちらでは、その模様を2回にわたりお届けします。
前編では、秋田さんがマーケターを志すきっかけとなった運命的な出会いや
これまでのご経験で感じるグローバルで活躍する秘訣などについてお伝えします。
毛見着用(左側)
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秋田さん着用(右側)
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「奇跡の出会い」がマーケターを志すきっかけに

まず秋田さんのこれまでの歩みを教えてください。
私は山梨県の出身で大学入学を機に上京し、大学卒業後は日本のメガバンクに入行しました。
その後、27歳でアメリカのケロッグ経営大学院というビジネススクールに留学し、そこで、マーケターとしてのキャリアを歩み始めるきっかけがありました。
私が大学時代に主に学んだのは、ファイナンスとアカウンティングだったのでケロッグに留学するまでマーケティングにあまり関心はありませんでした。
しかし、1年生の時、TA(ティーチング・アシスタント)による高度な先端技術に関する
講座があり、その授業で、私の隣に相当年配の男性が座っていました。「学生じゃないよね?この人。」と思ったのですが、その男性は非常に積極的に手を上げて質問していて「好奇心の塊」のような人でした。
すごいなあと思ったものの、ご本人に「あなたはどなたですか?」と聞くのも失礼なので、授業終了後にTAに「私の隣に座っていたのは誰ですか?」と聞いたのですが誰だったと思います?


秋田夏実さん着用
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ひょっとして、コトラー先生ですか!?
そうなんです。「マーケティングの神様」といわれているフィリップ・コトラー先生だったのです!
私のようなマーケティングのマの字も知らなかった人間でも、さすがにコトラー先生のお名前は知っていました。その時、既に60代でしたが、若い学生からも積極的に学んで、新しいものを取り入れようとする姿勢に大変刺激を受けました。
この方が第一人者ならば、マーケティングはなかなか面白そうだし学んでみよう!これが、今後のキャリアを決定づける瞬間でした。
卒業後は日本に戻り、日本や欧米の複数の金融機関のマーケティングに携わり、その後マスターカードの日本地区副社長を経て、ご縁があってアドビに入社し、現在5年目になります。
このように20年以上、マーケターとしてキャリアを築いてきましたが、あのときの出会いがなかったら、今ごろ全く違うことやっていたかもしれません。

西はITスタートアップ、東はオールドエコノミー

秋田さんはグローバルを舞台に活動する中で、いわゆるアメリカの西海岸と東海岸の会社も経験して、様々なカルチャーの違いについてご経験があるかと思います。
このカルチャーの違いについて感じることはありますか?
ありますね。ご存知の通り、西海岸の会社は社歴が比較的浅い企業が多いです。スタートアップで創業者が自宅のガレージの片隅から始めたというような会社も少なくありません。このような場合、経営陣が若く、創業者も自ら経営に携わっています。
彼らはコミュニケーションもフランクでフラット、服装もカジュアルです。T シャツにジーンズのような、自分が心地よく仕事ができるラフな服装が主流で、逆にスーツでは浮いてしまいます。
アドビも典型的な西海岸のIT企業です。アドビに入って非常に驚いたのは、初対面でもまるで以前からの友達のように、みんなとてもフレンドリーに接してくれました。
また、米国の上司や同僚とミーティングする際も、練りに練った資料を準備して臨むより、「アジャイルでダイレクトなコミュニケーション」が求められます。いま現場で何が起こっているか、それに対してどのようなアクションを取るべきか、それをわかりやすく伝えるのが非常に重要です。


秋田夏実さん着用
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一方で東海岸は、金融を中心とした「オールドエコノミー」な企業が多いと思います。
全ての東海岸企業に当てはまらないかもしれませんが、西海岸ほど組織はフラットではありません。まして、初対面でカジュアルに接することはありませんし、服装もかっちりしています。相手との距離を縮めて信頼を勝ち得るのには、少し時間がかかるでしょうね。
そう考えると、東海岸の方が日本のいわゆる大手企業の文化に近いでしょう。様々な意思決定のプロセスがしっかりと決まっていて、ステップを積み上げて、最終的な意思決定がなされる傾向にあるので、西海岸のスタートアップ企業に比べると、物事を決めるのに少し時間がかかるように思います。
その反面、西海岸では意思決定は早いのですが、一旦決定しても変更になることが頻繁にあります。状況が変化すれば、それに合わせてフレキシブルに対応するというのは、大切なことでもあるのですが。社員が振り回されることにもなりかねません。一旦決まったことは、そう簡単には翻らない東海岸企業とは対照的ですね。


状況に合わせたフレキシブルな判断が求められる業態であれば、西海岸のスタイルの方がフィットするかもしれませんね。
今、できないことは「自分の伸びしろ」

秋田さんはグローバル企業で挑戦をして、そこからキャリアアップを果たしました。その中で、苦労されたことはありますか?
私は20代半ばでアメリカに留学するまで、海外で生活した経験がありませんでした。実際、留学時のクラスの中で、英語圏で暮らしたことがないのは私1人だけ。そのため、周囲とは英語力で圧倒的な差がありました。
毎日膨大な量の英語のテキストを読み、課題をこなさなければならないのですが、単語の一つひとつに引っかかっていた私はクラスメイトと比較して何倍も時間がかかりました。
授業には、徹底的に予習した上で参加することが前提となっていました。冒頭に突然教授
に指名されて、意見を求められることもあります。何の前触れもなく「君はどう思った?」と聞かれるわけです。もちろん英語で答えなければならず、毎回寿命が縮む思いだったのを覚えています。
20代にそうした洗礼を受け、日本に帰国してから長くグローバル企業で働いてきましたが、今でも休日には英語のプレゼンテーションのトレーニングを欠かしません。自分の話す様子を録画し、見返し、聞き返して発音や言い回しを直すなどの努力を続けています。
年齢がいくつになっても、自分に足りないことを克服しようとする努力は無駄ではないと思っています


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少し話は変わりますが、私は7年前に空手を始めました。現在は茶帯ですが、真剣に黒帯を目指しています。若い頃からやっていたら、もっと早く黒帯が取れたと思うのですが、今からでも可能だと信じています。むしろ「今できないことは、逆に伸びしろだと思えばいい」と自分に言い聞かせながら、好奇心と強いパッションをもって続けています。


そのような努力を続けられるのは、やはりゴールやステップアップのイメージをお持ちでしたか?
そうですね。自分に足りないもの、できていないことに正面から向き合うのは、時に苦痛ですが、成長してゴールを目指すには避けては通れません。


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グローバルで活躍するために「英語よりも大切なこと」

グローバルで活躍するために、重要なことは何だとお考えですか?
英語の勉強はもちろんのこと、それ以上に大切だと思うのが「自分が語るべき言葉をちゃんと持っているか」「強く発したい自分の意見があるか」ということです。
文法的に正しくて、どんなに発音が美しくて流暢に話せたとしても、中身がなかったらだめです。たどたどしい英語で、訛りがあったとしても、しっかりとした内容さえあれば、耳を傾けてもらえます。それに気がついてからは、発音も大事ですけれども、「メッセージの中身こそが重要である」と改めて認識しました。
自信がない場合でも、堂々とふるまい、落ち着きをもって話すということも大事です。その方が、聞き手がより耳を傾けてくれますね。


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*後編に続く
後編「多様な組織を率いるリーダーに必要なスキルとマインド」

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kay me株式会社代表取締役/リードデザイナー 毛見純子
早稲田大学卒業後、ベネッセコーポレーションにて学校法人の営業およびマーケティング職に従事。その後Pwcにて組織人事コンサルタント、ボストンコンサルティンググループで経営戦略コンサルタントに従事。2008年マーケティングコンサルティング会社を立ち上げ、代表に就任。2011年kay me事業を開始。 2016年日本政策投資銀行「DBJ女性起業大賞」、2015年英国商業商工会議所「2015アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」などを受賞

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アドビ株式会社マーケティング本部/バイスプレジデント 秋田夏実
東京大学経済学部卒業。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院卒業(MBA)。シティバンク銀行、マスターカードなどの要職を歴任後、2017年4月に金融業界を離れ、アドビに入社。18年、副社長に就任。同社のバイスプレジデントとして、日本での広報・ブランディングを含むコミュニケーション戦略、マーケティング活動のすべてを統括。22年5月、みずほフィナンシャルグループ常務執行役員に就任。3人の子ども(2男1女)の母でもある。
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