今回も前回に引き続き「kay me」10周年を記念して、ファウンダーの毛見とアイランド株式会社 代表取締役社長 粟飯原理咲氏の特別対談をお届けします。
初回の「経営で一番難しいこととは?」、第2回の「メンタルヘルスのキープの仕方」に続いて、今回は「インスピレーション」をテーマに二人が語り合います。
起業家が実践する、インスピレーションを得る方法とはーー。

毛見着用(左側)
◆ ドラマティックイエロー ラッフルワンピース
◆ ホワイト クルーネックカーディガン
粟飯原さん着用(右側)
◆ ドラマティックイエロー トラベルロングスカート
◆ ホワイト レース付VネックTシャツ
◆ イエロー フレッシュカーディガン
起業のインスピレーションを得る2種類のプロセス

理咲さんは、起業して何年になりますか?
18年です。もうそろそろ20周年ですね。


すごいですね!私自身、起業する前から理咲さんの取材記事などを拝見していました。
ところで、なぜ起業しようと思ったのですか?サービスを見ていると、やはり料理が好きなのかなと。
料理は永遠の初心者です(笑)。どちらかというと食べるのが大好きで、会社員時代に食べ歩きのメルマガを配信して、それをきっかけに書籍を出版しました。まだインターネット創世記にもかかわらず、メルマガ登録者に3万人に達しました。
あと料理本を「読む」のは好きで。しかしそれで作りはするものの、料理家さんのようにテキパキできない。なので、料理家さんは永遠の憧れで、書籍も何百冊と購入しています。


そうすると、料理や食べ物を探求するのが「人生の旅」のようなものですね。料理家の方とお会いしながら、今も探求し続けているように見えます。
そうやって人生の旅をしながら起業するって珍しいかもしれないですね。楽しんでやっているからこそ、そこに仲間も集まってくるのではないでしょうか。
そうかもしれないですね。自分はそれが当たり前のようにやってきて、その中で「自分が欲しい」サービスをローンチしてきました。それが、ありそうでなかったサービスならヒットするかなと思います。


私の場合は、会社員時代のキャリアがあったので、その間にいた環境で女性が働くにあたってもっと集中すべきことがあるのではと感じていました。
一方で、集中しなくていいところの1つは「洋服選び」だと思ったんです。

毛見着用
◆ ドラマティックイエロー トラベルロングスカート
◆ ホワイト レース付VネックTシャツ
◆ イエロー フレッシュカーディガン
そこが面白いですよね。「課題解決」の観点からファッションの道に進むとは。


課題解決はキーワードに掲げています。洋服選びを楽にして、一瞬で選択できないか。洋服選びのストレスや時間をできるだけ少なくするのに挑戦しています。
お客様になっている女性が持っている目的・目標へ、さっと着るだけで進んでもらいたい。それができる洋服を提供して、女性の生き方やキャリアの課題をどんどん解決したいです。
そこがユニークで唯一無二だからこそ、お客様がファンになってストーリーに共感しているのではないでしょうか?


そうかもしれません。課題に対して共感いただいているのはありますし、似ているところがあるとしたら、課題解決を探求する旅に出ていると思います。10年あっという間で、まだまだ探求したいと思います。
kay meでできた、具体的な課題解決は何ですか?


やっぱり、飲み会から帰ってきて、洋服を洗濯機に入れられるところですね(笑)。それを洗って干せば、次の日も着れるので。
この服が洗えるなんて、はじめは思わないかもしれないですね。


しかも、このようなブランドも少ないので、結果的に買い物の時間などを短縮できるなど副次的なメリットもあります。

粟飯原さん着用
◆ ドラマティックイエロー ラッフルワンピース
◆ ホワイト クルーネックカーディガン
インスピレーションを得る実践的な方法

新しい発想やセンスはどうやって得ているのですか?
方法は主に2つあって「乱談」と「乱読」です。おしゃべりは発想のきっかけになって、食事しながらお話しするとインスピレーションが多くもらえますね。色々な人とランダムなテーマで雑談するのが贅沢であり、アイデアが出てくると信じています。
あと私は本屋が好きで、そこで気になった本を乱読します。最近のトレンドとか、こういう引き出しを持っている人がいるのかとか、ビジュアルなども本からだと得やすいです。
純子さんはいかがですか?


私は「未来年表」を見るのが好きで、政治や経済、テクノロジーなどの進化を捉えて、そこから逆算して動きます。今やっていることは10年前に見据えたことで、今後については2030年くらいを見て動いています。
あとデザインは「古美術」からインスピレーションを得ています。私はよく一人で京都に行きます。京都で器を見たり、オーナーさんと話したり。渦の巻き方とか、南蛮人の描き方など「全体の美しさとは何か」考えさせられます。
神経衰弱じゃないけど、盃と壺のセットはいくらかとか、そこにはどんなバックストーリーがあるのかとか、好きな作風もオーナーさんから言われて発見することがありますね。



とにかく私は古い物が好きなんです。今度、ぜひ一緒に行きましょう。
ぜひぜひ。でもkay meってデザインが特徴的ですよね。そのインスピレーションを古美術から得ていたとは。


そうですね。やはり花鳥風月など、左右非対称で流線型をベースにした世界観は自然が作った一番美しい物だと思います。
あと祖母が呉服屋をやっていたことも大きいですね。やはり和のテイスト、花や小川、魚や鳥などの影響を受けています。たまにアメリカやヨーロッパのブランドですかと訊かれることもあるのですが、日本の和からインスパイアされているものが多いのかなと思います。
こないだ食事に行った時にあるメニューを「パターン化できないか」と考えていましたよね?


そうでしたね(笑)。

それが毛見さんらしいというか(笑)。食事に行っても、それがデザインにつながるって楽しいだろうなと思いました。


粟飯原さん着用
◆ ドラマティックイエロー ラッフルワンピース
◆ ホワイト クルーネックカーディガン

前回のメンタルヘルスのお話しにもつながりますが、右脳を使いがちな色や形を考えている一方で、経営は科学的で要素分解して考えるので左脳を使う。使う脳をスイッチできるのは贅沢ですね。それで忘れたりできます。
だから、かわいいものを見つけた時はファイナンスのことを忘れます(笑)。
私も同じで、料理家さんやフーディストからスイーツを紹介されると、ポジティブな感情がわあっと盛り上がります。さらに編集部で盛り上がると、インスピレーションにもつながりますね。


一方で、経営のこととか考える時はスイーツのことも忘れる?
そうですね。もう別の人になっていますね。サイドAとBで分かれています。


それがメンタルヘルスをキープする方法かもしれないですね。
全3回終了
毛見とアイランド株式会社 代表取締役社長 粟飯原 理咲氏の特別対談 全三回
第一回「経営で一番難しいこととは?」はこちらから
第二回「メンタルヘルスのキープの仕方」はこちらから

着用アイテム
◆カーキタイニードット シフォンフリルロング
◆ マスタード クルーネックカーディガン
kay me株式会社代表取締役/リードデザイナー 毛見純子
早稲田大学卒業後、ベネッセコーポレーションにて学校法人の営業およびマーケティング職に従事。その後Pwcにて組織人事コンサルタント、ボストンコンサルティンググループで経営戦略コンサルタントに従事。2008年マーケティングコンサルティング会社を立ち上げ、代表に就任。2011年kay me事業を開始。2017年JNB「グローバル大賞優秀賞」、2016年日本政策投資銀行「DBJ女性起業大賞」、2015年英国商業商工会議所「2015アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」などを受賞

着用アイテム
◆ ネイビータイニードット
シフォンカシュクールロング
アイランド株式会社代表取締役/インターネットサービスプロデューサー 粟飯原理咲
国立筑波大学卒業後、NTTコミュニケーションズ、リクルート社を経て現職。日本最大級のお取り寄せの情報サイト「おとりよせネット」をはじめ、「レシピブログ」「フーディーテーブル」「朝時間.jp」などのウェブサイトや、キッチン付きイベントスペース「外苑前アイランドスタジオ」を運営。美味しいものに目がない食いしん坊&行くとついつい長居してしまう本屋好き。2011年より、日経産業新聞にて「風を読む」コラムを担当
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