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創業初期の資金調達

ビジネスのアイデアを形にしていくにあたり、最も切り離せない資金の問題。ファイナンスという専門的な領域の印象ゆえに、自分は専門外で手に負えなそうと思われる方もいるかもしれません。

それゆえ「お金のことに詳しいCFOに任せたい」と思う方もいらっしゃると思います。創業初期の起業家にとって、資金の問題とどのように向き合うべきでしょうか。

ベンチャー企業のファイナンスについては、たくさんの本が書店に並んでいますし、インターネットで調べても多く情報があるので、詳細な内容はそちらに任せたいと思います。今回のコラムでは、財務の専門家ではない起業家の皆さんに限定して、自分がこれだけはやらなければならないというポイントに絞り、かつそこまで難易度が高いわけではないということを理解してもらうことで、資金の問題があなたのアイデアを形にする邪魔にならないよう、そしてビジネスを作るという一番大切なことにフォーカスできる一助となれば幸いです。


創業初期はフルタイムでのCFOはtoo much

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CFOの必要性

よく創業初期の企業からアドバイスを求められるのは「CFOに何をお願いするのがよいか?」という問い合わせです。大体の場合は「お金周りのことはよくわからないから、専門的な方に任せたい」の裏返しです。はっきり言ってしまえば、ゼロ→イチの立ち上げ時には、高度なファイナンスのテクニックが必要となる状況はあまりなく、起業家がポイントを絞って専門家にアドバイスをもらいながら、自分自身で乗り越えることができると思います。そのため、フルタイムでのCFOはこの時点ではtoo muchと言える場合が多いと思います。もちろん、初期から設備投資が必要なビジネス特性であるなど、多額のキャッシュが必要となる場合はその限りではありませんし、一定規模の資金調達の最中に、資金の出し手からCFOのようなポジションの方を置いていただくことを要請されることがあるかもしれません。ただし多くの場合は、初期の資金調達ではご自身で十分乗り切れると思います。

専門家にアドバイスをもらうべきポイントは限られている

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専門家に頼るポイント

創業初期でファイナンス領域のタスクとしては、資金調達と日々の会計(経理)処理になるかと思います。起業家であるあなたがこの領域に全く触れてこなかったとしても、心配しないでください。専門家にアドバイスをもらった方がいいポイントは限られています。

専門家にアドバイスを受けた方がいいポイントを挙げるとすれば、事業計画と資本政策の作成でしょう。事業計画はイメージがつきやすいと思います。だいたい5年間くらいのスパンで、売上と費用がどのように上昇して、利益はいくらになるかを試算します。資本政策は少し専門的な領域かもしれません。「資本」つまり株式による資金調達を上記の事業計画の期間中にどのように行うかということです。これは株式の資金調達の経験が必要になってきます。これらの作成においては、経験のある方にスポットでアドバイスをもらうか、会計士/税理士さんに相談するのがよいかもしれません。

あなたが考えているビジネスは
本当に資金が必要なのか?

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必要な資金はいかほどか

CFOや専門家に頼らない前提で、起業家の皆さんが行うべき、具体的な資金調達プロセスを記載します。まず理解しなければならないこととしては、みなさんが始めるビジネスの特性から必要資金を把握することです。ビジネスを始めるにあたって、条件反射的に株式での資金調達とイコールになっている方がかなり多いです。そもそも、あなたが考えているビジネスは資金を必要とするものでしょうか。在庫を持つビジネスですか?設備投資が必要ですか?開発費は?それらはあなたが最初に用意した資金や、毎月の売上でまかなうことはできませんか?

以上を考えてみて、これだけは必要という金額を算定してみてください。それが理解できたら実際に資金調達のスタートです。資金調達の方法を大きく分けると、金融機関からの借入と株式を発行しての調達の2つがあります。

借入による調達

金融機関からの借入に向く資金使途としては、「利益が出る見込みが高いが、資金を先に必要とする取引」である場合です。具体的には、売上の入金が3ヶ月後に確定しているが、それまでに毎月経費を支払わなければならないといった場合や、オフィスの敷金を前もって何ヶ月分か支払わなければならない場合などです。いずれも、将来的には払うことができる(黒字の取引)が、今足りない資金を埋めるものです。敷金は解約時には戻ってくる公算が高いですよね。こういった取引は借入が向いていますし、金融機関からも資金が出やすいです。

創業初期でも借入できるところとしては、日本政策金融公庫と市区町村の保証協会というところに保証してもらいながら銀行や信用金庫で借入を行う2パターンがあります。どちらも、創業間もない起業家を相手にしていますので、本店住所を管轄している日本政策金融公庫の支店に赴くか、口座を作った金融機関に、保証協会を利用して借入を行いたいと相談してみてください。丁寧に対応してもらえます。

ちなみに銀行との取引には「信用力」を演出する以下のようなスーツセットアップが◎

株式による調達

一方で、借入と対になる調達方法としては株式による調達が考えられます。会社が新たに株式を発行し、それを買い取ってもらうことにより資金を得ます。ただし、投資家は将来的にその株式を高く売ることでリターンを得ようとしているため、起業家はいずれ高く売れるように努力する必要があります。向いている資金使途としては、「リスクを取って事業に投資する資金」と言いましょうか。広告費を投下してユーザーを獲得したいという場合や、システム開発を行う場合など、売上が確定してはいないが、大きく返ってくる可能性があるというような、よりリスクが高い取引に使う資金は、株式での調達が向いています。ですが株式による資金調達は、いざとなったら返さなくてよい資金でありますが、「資本政策は不可逆」とよく言われるように、一度株式を発行してしまうと、なかなか無かった状態に戻すことはできません。

株式による資金調達の出し手としては、エンジェルという個人投資家やシード投資家と呼ばれる人たちです。エンジェル投資家は、過去に起業した経験者である場合も多く、彼らは資金を提供してくれるだけでなく、初期の経営アドバイスも行ってくれることも多いです。多くの人にとって、こういった投資家との接点を持っていることは稀だと思います。今はインターネットで(シード)投資家を検索すると、どういった人や領域に投資しているかというプロフィールとともに投資家が検索できるようになっています。経験のない起業家がアクセスしやすいように門戸を開いていますので、どんどん会って話を聞いてみることをおすすめします。

エンジェル投資家は様々な領域のベンチャー起業家を見ている。以下のような「個性」を表現する「カラー」を足すのがおすすめ!

このように起業家として自分でやらなければならないことは、必要な資金を算定し、借入と株式のどちらで調達するかを決めることであり、具体的な資金調達の入り口は、未経験の方でも大丈夫なように開かれています。創業初期の資金調達において、専門的なアドバイスを必要とする部分は限られており、自分のビジネスを説明することがメインですので、心配せずに門を叩いてみてください。


次回は、資金調達にも少し関連しますが、アクセラレーターの利用について取り上げてみたいと思います。

<第1話>
市場選択をどうするべきか

<第3話>
アクセラレーターの利用

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